よい患者、よい医師 | 医療法人南谷継風会 南谷クリニック 岡町院

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COLUMN

よい患者、よい医師

2014.05.01コラム

 診療においていろいろな患者さんとお話をしていると、もう少し素直に私を受け入れてくれればよいのにと思うことが時々あります。昨今テレビ番組で医療業界を描いたドラマが多く放送され、医療がより身近になり、そして医師像が、生臭い人間として、面白おかしく作られています。ドラマでは必ず、腕の立つ、品行方正な?正義感にもえる医師が登場します。そこにいわば悪役の人間の性の暗点を投影したような医師が登場し、ことごとくその医師に対立し邪魔をしていく。この悪役の医師の暗点、人間性が強調され、医療あるいは、医師に対し、懐疑的になられている患者さんが間々おられます。

 医療の原点は信頼関係から始まることが必要だと思っています。ところが、はじめから医者に対し、懐疑的な態度で、こちらの言葉をあまり信用されない。なぜ病院に来たのか、こちらの説明に対し、様々に反論を述べ、自分の症状はこうだからそのようなことをしても治らないとか、あるいは口に出さないまでも明らかにこちらを信用していない態度をとる。このような方は、はなから自分の答えが決まっていて、その意にそぐわないような説明を聞こうとしない。様々な施設で色々なことを言われてから来院されるからでしょうか?

 こちらの説明の仕方、あるいは態度にも問題があるのかもしれません。しかし症状の説明をしながらこのような患者さんの気持ちが伝わってくると、こちらも人間なので治そうとする意欲が薄らいできます。もちろんいい加減に対応するということではないのですが基本的な病気に対する説明、治療法について説明はしますが、それ以上の、自分の直感でこうすればもっとよくしてあげられるのではというレベルまでの説明は差し控えてしまいます。どうせ聞いてもらえそうもない…心の中でそうつぶやく自分がいます。基本的に医療も患者さんを診て、診察料を頂くことを生業としています。その意味において、医療をサービス業、商売?と捉える向きもありますが、私はそうではないと考えます。診察に来られた限りは、その患者さんの症状に対し、自分の知識を持って一生懸命に治そうと努力します。その中に商売的な要素はなく、悪意は存在しません。もちろん大多数の患者さんは私たちの言葉を素直に受け入れ治療に協力されるのですが、先に述べたような患者さんがおられるのも事実です。

 性善説に則ってお互いに素直に受け入れあうことが重要です。私の診療は言葉遣いが横柄で馴れ馴れしいとよく言われます。自分ではあまり意識していませんが、基本は、形式ばることが嫌いで、患者さんに気楽に接して頂こうという意図なのですが…。しかし注意しなければならない点だと考えています。いい患者、いい医師、もちろん言葉遣いは重要ですが、お互いに本質的なものとは何かを考え、問題の病気に対し、それを治療すべく、お互いに信頼関係を持って向き合うことが大切だと思います。

南谷クリニック副院長 南谷哲司

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