成長期の腰椎分離症 | 医療法人南谷継風会 南谷クリニック 岡町院

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COLUMN

成長期の腰椎分離症

2015.03.15コラム

『成長期の腰椎分離症』についてお話しさせていただきます。 腰椎分離症とは、腰骨の疲労骨折のことです。分離症は40年程前までは、先天的な奇形のひとつであるとか分娩時の骨折であるとか、疲労骨折とはかけ離れた考えでありました。1972年に日本整形外科学会が、スポーツによる過労性の骨障害であるのではないかとの推論を発表し、1990年前後になると、CTやMRIによる診断能力が向上し現在のような考えが確立したのです。スポーツでは腰を伸ばしたり捻ったりします。この伸展動作と回旋動作が腰椎の突起間部というところに機械的なストレス(とくに伸張ストレス)を集中させ、そこに骨吸収が起こることが分離症の始まりです(図1)。

ですので、発症初期の分離症ではレントゲンを撮ってもわからないことが殆どで、MRIやCT検査で初めて診断できることが多いのです。逆に言えば、レントゲンでわかる分離症は末期であり、治療をしても分離症自体は治せないです。分離症は骨折ですので発症すれば骨をひっつかせることが大事です。治療において大事なことは、発症早期のものを見つけて骨癒合可能な時期であれば骨癒合を目指すことなのです。

特徴的な症状は、腰痛と体幹の後屈時痛・回旋時痛です。大半の人はいつの間にか痛くなっていたと訴えます。診察し分離症の疑いがあれば、当院ではまずMRI検査を行います。レントゲンでわからない分離症の早期であれば、椎弓根部というところに異常信号が現れます。これは骨髄浮腫といって骨の中の腫れを表し、この所見をもって疲労骨折(分離症)と診断します(図2)。

MRIが陽性であれば次にCT検査を行います。早期分離症を更に詳しく進行度に合わせてステージ分類を行います。早期分離症の中でも、進行度合いによって骨癒合率(治療をした時の骨のひっつく確率)や治療期間が変わるからです。

基本的な治療はコルセットなどによる外固定です。原因となる伸展動作・回旋動作を極力制限します。固定材料、固定期間は分離症の進行度によって変わります。症状の改善、疲労骨折の癒合をもって治癒とするのですがもう一つ大事なことがあります。最大の原因はスポーツによる機械的なストレスなのですが、忘れてならないのが、カラダの固さです。モモ裏の筋肉ハムストリングス(図3)が固い選手は必ず腰に負担がきます。

図3

体幹前屈テスト(図4)で指先が床につかない人は要注意です。ですので、外固定でスポーツ禁止の治療期間中にしっかりとハムストリングスを柔らかくしてもらいます。改善の認められない人はスポーツ復帰を認めません。再発予防が大切なのです。

図4

以上、ざっくりと分離症について説明しました。私の経験でも腰痛で外来に来られた成長期のスポーツ選手の約35%が分離症でした。思いあたる症状のある人はスポーツドクターのチェックを受けてください。

整形外科 荒川晃

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